それからの数日間、おじさんの一言が米田の頭から離れない。
『キックボクシング』
近くの喫茶店にあった、オグニジムのポスターが目にとまる。
前から貼ってあったような気がするが、今まで気にして見たことはあまりなかった。
米田(1度、行ってみようかな・・・)
そうはいうものの、当時はHPすらない時代。
外まで響くサンドバックにビクビクしながら、オグニジムの門を開けるしかなかった。
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会長「じゃあ、まず縄跳びを10分くらい跳んでてみて!」
キックボクシングの体験に訪れた米田に渡されたのは『縄跳び』であった。
米田は体力には自信があった。
米田(おいおい、仮にもずっとサッカーをやってきたんだよ。縄跳びなんて・・・)
しかし、いざ始めると10分間があまりに長い。当時は10分間、飛び続けることはできなかった。
これが悔しかった。
負けず嫌いの米田の心に火がついた瞬間だった。
キックボクシングは1vs1のスポーツ。すべての結果が自分にかえってくる。
プロになるとも、ましてや世界タイトルを取るなんてことは、考えてもいなかった。
ただただ、キックボクシングにのめりこんでいった。
ボクシングを始めて1ヶ月、ジム内のスパーリングに参加し、勝利。
4か月目にして、プロのライセンスまで取得してしまったのだ。