【連載】痛みをとる技術【第4弾】

膝の痛みその② 膝外側の痛み(主に腸脛靭帯炎について)
ここからは膝の外側の痛みについて解説していきます。体調管理で毎日ウォーキングをしている人。日々ランニングやサイクリングを楽しんでいる人。バスケやサッカーで走り込んでいる人など、多くの人が経験するであろう痛みの1つです。O脚の人や、靴裏の外側ばかりが擦り減るような、姿勢や動作に癖のある人は特に発症しやくなります。
痛み発症のメカニズムと一般的な対処方法。
膝外側の痛み発症メカニズムについては、ネットで調べれば出てきますので、今回はあえて書きません。一般的な対処方法として書かれてあるのは、「運動を中止して休ます」「アイシング」「マッサージやストレッチ」「インソール」「温熱療法や超音波照射」「痛み止め」「消炎鎮痛用の湿布や内服薬」などです。
ここで、どうやったら痛みが出る前に気付くことが出来るのか?と考える場合、後半の2つは論外です。痛みが出てどうしようもない状態を回避する選択肢としては正解ですが、将来痛みが出ないようにする、という根本的な改善にはなり得ません。では前半5つを守れば完璧なのか?と言われれば、答えはNOです。以下、その理由を書いていきます。

一般的な対処方法が不完全な理由。
運動を中止して休ます:医者が口癖のように「安静にしてください」と言うのは、安静にしておけば悪化しないと思っているからです。下手に説明して悪化したら責任を問われるので、それを回避する意味合いもあるのでしょう。しかし、痛みが出たら安静にしておく、という擦り込みは、将来、サルコぺニアやロコモティブを招く危険性を高めるのは間違いありません。痛みが出ないようなトレーニング種目や方法はたくさんあります。実践的なトレーニング方法やコンディショニング方法は、医者の専門外です。何もしないで全身衰えていくより、痛くない場所だけでも筋力を維持する努力をすること。また痛みが出ている原因となっている組織をマッサージしたりストレッチしたりしてやること。自分で治そうという前向きな姿勢や、社交場に出ていろんな人と話をして刺激を受けることなども含め、自分なりに出来ることを見定めて、何かをやろうとする姿勢が、回復を早め、再発防止にも繋がるというのが、私の考えです。と説明しても、ほとんどの人は医者の言うことを信じて安静、完全休養を選びます。それはそれで仕方ありません。私にはそれだけの信用しかないのです。ただ私自身にとって大切なことは、自分が正しいと思った事を貫く姿勢なのです。一般常識と違うからとか、商売にならないから、面倒くさい道のりだからという理由で、自分の信念を曲げたとしたら、それは自分の命に失礼だと思うのです。

アイシング:私の場合、何度も傷めた経験のある古傷は、トレーニング後、必ずアイシングします。それは同じ個所を何度も怪我してしまったために組織が変性してしまい、炎症を起こしやすい状態になっているからです。出来ることを全て行って、また炎症を起こしてしまったのなら仕方ないと思いますし、身体の他の部分へのアプローチを考えるでしょう。しかし面倒だからとやるべき事を怠ってまた炎症を起こしてしまったら、私はそんなズボラな自分を憎みますし、そんな自分のためにまた傷付いてしまった身体に対し、申し訳が立たないと思います。
アイシングは悪化させないための良き対処法ではありますが、根本的な解決法にはなりません。

マッサージやストレッチ:いろんなやり方が紹介されていますが、これは間違いない!と思える腸脛靭帯を確実にほぐしたり伸ばしたりする方法があるでしょうか? 私の見解としては、やらないよりやった方が良い、というマッサージやストレッチは紹介されていますし、これは絶対にやらなければならない身体のケアの1つです。しかし、何をもって効いている・効いていないと判断するのか? またどの時点で正常化されたと判断するのか?を示してないところが今のところ不完全です。

インソール:これはこれで大切ですが、これだけで根本的に解決するということは無いです。

温熱療法や超音波照射:痛みが出る前に、こういったモノを使用して筋肉や筋膜の回復を早めるとこは非常に有効な手段の1つです。がしかし、これらを日々使用できる環境にある人は少ないでしょうし、どのぐらいやれば良いかも分からないと思います。

「では整体とかカイロはどうですか?」と言われるかも知れませんが、答えは同じく不完全です。『誰かに頼めばどうにかなる』、という気持ちがある限り、根本的な解決は無いと思ってください。医者やセラピストが「どうにかして自分の客として患者を囲い込もう」とする闇と、自分で勉強して対処するのは面倒だから、誰かにお金を払って治してもらおうという闇が、膝の痛みだけでなく、慢性的な腰痛や肩凝りを治しづらくしている最もな原因の1つです。お互いがそんな精神性だから、何十年にも渡って、医者も、いろんな資格を売りにしているセラピストたちも、結果を出せていない!という現状が変わらないのです。子供の頃から長い間、いろんな怪我に悩まされてきた私としては、その現実を見直そうとしない全ての人達にメチャクチャ怒りを感じております。

では何をどうすればいいのか?
ではどうすればいいのか?と言えば「身体と対話」すればいいのです。「そんな宗教じみた話、信じられるか!」と思われるかも知れませんが、多くの人が勤しんでいるエクササイズの発祥には、必ずその理念があったと確信しております。太極拳やヨガやピラティスをゼロから生み出した人は、絶対に自分の身体の声を聞こうと努力したはずです。身体の内部で何が起こっているのか? 何が変化しているのか? その目で確認できないことを掴むために、感覚を研ぎ澄ませたに違いありません。しかしそこで掴んだ感覚を人に伝え、代々継承していくには非常に困難なことです。ゆえに『型』を作り、最低限伝えるべきルールと共に、人々に広げていったのです。その広がっていく過程で『型』だけが残り、根幹となる理念や感覚が置き去りにされているのが現在の状態です。何故そうなったのか? 伝える側の多くが商業主義に走り、伝えられる側の多くも、より簡単なモノを望んだからです。今の医者と患者の関係と同じだとは思いませんか?

歴史に学ぶことは大切です。だからこそ私は「痛みをとる技術」で金儲けをしようなどとは思いません。資格制度にして、痛みをとる講師などを育てたくもありません。これに関連した商品を作って販売しようとも思っていません。これで儲けたい人がいるなら勝手に儲けて、広めたい人がいるなら、自由に広めてくれればいいと思っています。
私は掴んだことは全部書いていくだけです。言葉では伝わりきらないので、一通り説明し終わったら、また一から動画で解説していこうと思っていますが、基本的には全員振り落としてやる、ぐらいのつもりで、ニヤけて書いています。否定されても批判されても良いのです。議論が深まり、自分だけでも健康になろうとか、自分の周りの人だけでも健康になって欲しいという人が増えて、それが少しでも地域への貢献、未来への貢献に繋がれば、私はそれで良いのです。その方法に拘る必要はないでしょう。ちっちゃいことで批判し合って、いがみ合って、客を取り込むことばかり考えて、ちっとも協力しようとしない、団体が私は大嫌いです。

おっと、大分悪い方の私が出てきました。そして話が大分反れてしまいました。今回はここまでです。

本コラムの執筆者
生西 聖治

ボディメイク&ボディケアハウス
代表:生西 聖治
一般社団法人日本トレーナー協会代表理事

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