【連載】痛みをとる技術【第6弾】

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【関節リセットストレッチ】ターゲットは筋肉と筋膜と関節 膝の痛みに対応する④-

セルフコンディショニングの鉄則
これまで何度も繰り返しましたが、セルフコンディショニングの大原則は『身体との対話』です。
あなたは自分の両手の平をジッと見つめたことがありますか? 悔しくて拳を握りしめた経験。感情的になり、人やモノに当たってしまった経験。好きな人の手を握った経験。苦しかったり悲しかったりして頭を抱えた経験。生まれてから死んでいくまで、その全ての瞬間瞬間で、いつもあなたに寄り添ってくれるのは、その両手の平だけでなく、あなたの身体の全て、細胞1つ1つ以外のナニモノでもないのです。静かに自分を支え、寄り添ってくれている事への感謝と、その細胞が激しいSOS信号を出すまで放置していた事への謝罪の気持ちを持って身体との対話を進めていくことが、あなたが抱える多くの痛みを軽減させ、この先起こりうる怪我や病気のリスクを大幅に軽減させると断言できます。

身体との対話を失った現代
科学や医療が発達していなかった時代、身体との対話など当然の事だったでしょう。それがついこの数十年で、薬を飲めばどうにかなる、医者に掛かればどうにかなる、マッサージや整体に行けばどうにかなる、という社会になってしまいました。日本の医療、保険、介護などの制度の全てを否定するつもりはありません。しかし保険で、格安でお手軽に病気や怪我の診療が受けられるようになって、自分で学んだり努力したりする人が減ったことは事実です。医療費負担を5割とか6割にすれば、努力をする人は必ず増えます。そういうと国民の支持を得られないから、また国民も今を生きる自分の利益しか考えていないから、そんな身勝手な制度を何十年と続けてきたのです。結果、今を生きる人たち、特に比率的には若い世代の負担と不安が増幅し、早急な制度改正を強いられています。実は最近の研究では、脳へのストレスが腰痛を助長している、という話があります。若い世代の政治への不信感や税負担、また経済的な不安定さや、将来の生活・健康に対する不安など、甘やかす政治が行ってきた国の在り方・教育そのものがストレスであり、腰痛の一因になっていると主要なメディアで言われる日が来るかも知れません。詳しくは腰痛の回でお話させていただきます。
いずれにしても近い将来、どのような順序で医療費の負担が大きくなっていくかは分かりませんが、自分の努力次第でリスクを軽減できる生活習慣病などは、まずその筆頭に挙げられるかと思います。膝や腰や肩の痛みについて、セルフコンディショニングの効果が認められるのも、どのぐらい先になるか分かりませんが、私たちが生まれるずっっっと前から行われていた『身体との対話』が強く謳われる時代がきっと来るでしょう。

膝内側と股関節の痛みを軽減させるリリース
膝の痛みシリーズとしては最後の箇所、膝の内側の痛みについてご説明いたします。膝内側の痛みに直接的に関係しているのは、膝内側上部に付着している大内転筋と、下部に付着している薄筋の2つです。しかし腿の付け根から大腿骨の内側に付着している内転筋群は、恥骨筋、長内転筋、短内転筋、小内転筋など複数あり、間接的に膝の痛み、また直接的には股関節の痛みに関係しています。膝の内側の痛みを軽減させるリリースを行う場合は、出来るだけその全ての組織にアプローチしてやります。

3段階で効かせる その①
utimomo
・写真のようにうつ伏せになり、横にポールを置きます。
・片方の足を横に出してポールに乗せ、ゴロゴロと転がしてリリースを行います。
・最低でも、腿の付け根、中央部、膝に近い位置の、3カ所に分けて行います。

3段階で効かせる その②
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・今度はポールに沿わせてゴロゴロ転がすのではなく、足をポールに押し当てて、脚を少しだけ上か下にずらします。注意点としては、足に力を入れて押し当てるのではなく、リラックスした状態で、自分の体重を利用して押し当てる強度を調節します。また肘で身体全体をコントロールします。
・これも腿の付け根、中央部、膝に近い位置の3カ所で行います。

3段階で効かせる その③
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内腿で最も痛みを感じる個所は、恐らく膝に近い部分です。
段階①と②で、十分に痛い場合は、③まで進まなくて大丈夫です。全てに共通して言えることは、痛過ぎはNG。イタ気持ち良い状態を自分で探ってください。そして合言葉はリラックス&深呼吸です。
①②とやってみて、もう少し強度を高めて良さそうでしたら、今度は膝をほぼ伸ばした状態でポールに当て、転がすと同時に、股関節から脚を内側に回転させます。これは動画で説明しないと伝わりにくいかも知れません。動画公開までは、こうじゃないかな?と効いている感じのする方法を試行錯誤してください。

痛みをどう捉えるか?
膝の痛みを軽減させる方法(膝が痛くならないための方法)について、膝の正面、外側、内側と分けて書いてきました。この実践を初めてされた方は、どこかしら「痛いっ!」という個所があると思います。その時、「ヤバい、危なそうだから止めておこう」と思うか、「よっしゃー、痛い場所が見つかった。絶対治してやるからなぁ」と日々コツコツリリースを行うかで、その人の未来は大きく変わってきます。最低3カ月。1回3分。出来れば1日2~3セット。長い人生のたった3カ月です。なぜ3カ月の期間が必要なのかは近々ご説明いたします。

「治った」をどう理解するか?
触って見つかる痛みは、まだ自分で治せる段階です。立ち上がる時に膝が痛い、階段を降りる時に痛い、長い時間歩いていると痛くなる。そうなってしまうと、とりあえず1回医者に行ってくださいという話になってしまいます(可能性としては低いですが、稀に骨とか血の病気である事もありますので)。医者に行くと、特に何も見つからず、痛み止めと湿布で安静、或いはリハビリ、となる場合の方が圧倒的に多いでしょう。確かにそれでも痛みはなくなります。ただ平常時の痛みを感じなくなっただけで、触って痛い部分はそのまま残っているのです。それは治ったとは言いません。痛みを感じなくなっただけです。それでもほとんどの人が、平常時の痛みがなくなったから治ったと思い込み、また放置します。で、また痛くなって、医者や整体やマッサージにかかるという悪循環。その魔のサイクルはドンドン短くなります。根本的な改善策をとらない期間が長くなれば、筋肉や筋膜や骨や神経経路などの組織そのものが変形して、元の形状と機能に戻すまで、多大なる時間と労力が必要になります。その業界の人達にしてみれば、良いお客様の誕生です。

本コラムの執筆者
生西 聖治

ボディメイク&ボディケアハウス
代表:生西 聖治
一般社団法人日本トレーナー協会代表理事

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