【連載】痛みをとる技術【第8弾】

ターゲットは筋肉と筋膜と関節 3ヶ月の我慢!

No Pain No Gain!

今回は慢性的な腰痛や肩凝り膝の痛み、その他クセのついた身体を治すのに、なぜ最低でも3ヶ月ぐらいは必要なのか?いう話です。と、その前に私の立ち位置をハッキリさせておきたいので、3つ言わせていただきます。
1.「痛みがなくなった」=「治った」ではありません。
  「治った」=「組織が正常に機能し始めて、トレーニングに耐えうる準備が出来た」です。痛みがなくなった時点では、まだ折り返し地点にも来てないかなぁ、ぐらいに見積もってください。治っていく感覚を痛みによってキャッチする以上、痛み止めで感度を鈍らせることは、私にとっては悪手です。痛みは症状の経過や状態を確認する上で、無くてはならない感覚です。勿論、痛すぎてどうにもならない時や、ここ一番の勝負事がある時などは痛み止めも必要ですが、慢性的な痛みにおいては、痛み止めは排除していくべきです。

2.1に関連して、1回のマッサージや整体や気功で良くなった、奇跡の〇〇、みたいなテレビ番組を見るたびにウンザリしているのが正直なところです。1次的に痛みを取り除く技術は必要ですし素晴らしいです。がしかし、それで治ったと勘違いさせてもいけませんし、してもいけません。まあプラシーボ効果もあるので、信じたい人はトコトン、狂信的に信じてください。

3.1と2の流れから、慢性的な痛みに対して、「私が治してあげましょう」+「誰かに治してもらおう」は最悪の組み合わせです。今の保険制度やメディアの在り方が、そういう依存体質の人を多く生み出してしまいました。嫌われようが、収入が減ろうが、「自分で治す覚悟が無い限り、治りませんよ!」とハッキリいう施術者が増えること。また、長い人生のたった3ヶ月だからと、覚悟を決めて、自分の身体に時間とお金を投資する人が増えること。これが同時に進まなければ、いくら医療が進歩しても、慢性疼痛で悩む人が多い現状は変わりません。

これまでのやり方を何十年続けてきても治っていないのです。それをまだこの先も何十年と続けますか? 私がお伝えしている内容は、依存体質に甘んじている双方の意識を変える、という抽象的な目的が軸にあり、それは伝えにくいし、理解もされにくいです。それでも信じてくれて、挑む人には、これまでにない感覚や発見、身体の変化がもたらされると確信しています。『No pain No gain(痛みなくして得られるモノ無し!)』の精神です。私たちは幼い頃から、努力して得られるモノの達成感や満足感などを学んできたはずです。それがいつの間にかラクをして利を得たいと思う人間に染められてしまいます。どちらの人生を選ぶかは個人の自由です。私は、慢性的な痛みに関しては、ラクをしていては治らない!という立ち位置です。何か目標に対して、試行錯誤しながら努力し続けること、今日よりも明日の自分が良くなっていると信じて生きること。それを生き甲斐というのです。

動的平衡という考え方
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イラストAのネズミ。生物は食べ物を口にすると、消化吸収し、代謝経路を辿って、一部をエネルギーとして使い、一部を呼吸や汗として体外に放出します。その時排泄されるモノは、近々に食べた物の残りカス・・・というイメージを持っている人が多いと思います。しかし実際は違います。より正確に表しているのはイラストBの方です。

エサに、分子が発色する特殊なマーカーを組み込んで食べさせると、そのマーカーを持つ分子は、生物の体内で発見され、排泄物からはほとんど見つかりません。つまり、口から入った食べ物は代謝経路を辿って一部はエネルギーとして使われ、呼吸や汗から排出されるのですが、一部は身体を作る材料として、足や背中や心臓や脳など、身体のあらゆる組織に組み込まれていく、ということです。排泄されているのは、消化されなかった一部の食べ物と、体内で一定期間活動し、入れ替えの時期を迎えた古い細胞や傷んだ細胞なのです。爪とか髪の毛だと、実際伸びてくるので理解しやすいと思いますが、心臓も肝臓も腎臓も、カッチカチの骨や歯も、分子レベルではもの凄い速度で破壊と合成が絶えず行われ、フレッシュな細胞への入れ替えが行われているのです。

日々の食事によって、細胞レベルでは24時間絶え間ない入れ替えが行われている動的な状態である一方、生命体の全体像としての形や機能はほとんど変わること無く存在し続けている、という状態を動的平衡と言います。今日のあなたの身体を作っている材料と、3カ月後のあなたの身体を作っている材料は全く違うのです。下の表は、その材料の入れ替わる速度についての研究結果です。
◆身体の入れ替わる速度◆(香川大学医学部麻酔科医の佐藤和子著:健康を支える栄養学より抜粋)
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もし日々の食事内容が、身体を作るのに不完全な栄養素であったとしたら、その後に出来ていく身体も不完全なものにしかなりません。骨や血管が脆くなったり、ホルモンの分泌が異常になったり、免疫システムが正常に作用しなかったり、神経系や脳細胞の働きも、その生物が本来持つものではなくなるでしょう。それを知らないと、慢性的なダルさや不調を原因不明の病状と診察され、薬を処方されてしまいます。しかし薬を飲んだところで、元々が不完全な身体になっている訳ですから、そこにいくら有効とされる薬を放り込んでも、思うような効果は得られません。まず見直すべきは食事なのです。最近になってようやく、薬を処方しても効かない患者に対し、食事療法を行ったら症状が改善したという一部の医者の発見から、医者も栄養学に注目し始めました。ほとんどの医学部の教育課程には栄養学がないため、病気にならないための食事療法なんてことは、これまでの医者は知らなかったのです。

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