【連載】痛みをとる技術【第9弾】

ターゲットは筋肉と筋膜と関節 アキレス腱の違和感

ええかげんにせーよ!その①
今回はアキレス腱のコンディショニングについてです。アキレス腱は、私が経験した怪我の中では、椎間板ヘルニアからのギックリ腰に続いて回数が多く、症状も深刻な怪我の1つです。私の怪我は、アキレス腱の断裂ではなく、腱及び腱周囲の炎症でした。「もう少しでも体重を掛けたら切れるのではないか?」という痛みと腫れで、アキレス腱にもう1つ心臓が出来たかのようなドクンドクンと脈打つ感覚があります。その個所は、何度も繰り返し傷めてしまったため、組織がやや肥大化し、その腱に繋がる筋も、他の隣り合う筋肉よりも何倍も早く疲労し、早く固まる性質に変性してしまいました。
なぜそんな怪我をして、なぜそんなに何回も同じ怪我を繰り返したか?ですが、理由は2つあります。1つは、私が、自分で自分の身体を何度も破壊できるぐらい、どMでどSだったから。これは日本人の職人体質と言うか、風土と言うのでしょうか。例えば今日これだけのメニューをやるんだ、と決めたら、身体が痛かろうか、体調が悪かろうが、意地でもやってしまう、という頑なな真面目さ。命令されている訳ではなく、自主的にです。その融通を利かせられなかった自分が今では憎いです。勿論、その根性論的な世界を経験しないと分からないこともありますし、調子が悪いなりの全力の出し方も知っておいた方が、将来的には身体の役に立つでしょう。しかし、半ば強迫観念や罪悪感で、休めないのだとしたら、それは本当に立ち止まって考えた方が良いです。今日明日がゴールなら無理も良いでしょうが、長く続けたいのであれば勇気を持って休めるべきです。完全に休養させるのではありません。痛みがあるなら、早く痛みがとれるための努力をするのです。体調が悪いのなら、早く回復するための努力をするのです。トレーニングと言うのは、身体を強める、速める、鍛えることだけを言うのではありません。休めること、回復させること、癒すこと、食べること、身体に新しい刺激を入れてやる全ての行為がトレーニングなのです。むしろやり慣れている事を繰り返す行う行為は、どんなにハードな内容でも、身体が覚えてしまっているので、トレーニングとは言いません。現状維持のためのルーティンの1つです。
今は無理できるぐらい体調の整っている時にしか、筋トレらしい筋トレはしません。日々体調管理のために行っているメニューは、自分の身体と相談して、その日にやりたい事をやりたいだけやります。一応ザックリと「こういうメニューをやろうかなぁ」と考えてはいるのですが、ウォーミングアップの段階で、「ん~イマイチのらない」と感じたら、低負荷に切り替えて、本腰でやるのは次の日に持ち越したり、動きの中で腰や膝にハリを感じたら「ありゃ、こりゃコンディショニング不足だな」と考えて、リリースしたりストレッチする方に切り替えます。
で、話を進めますが、私がアキレス腱の怪我を繰り返したもう1つの理由は、先ほど説明したようなトレーニングメニューの切り替えや、コンディショニングをしようにも、その知識がなかったからです。自分も不勉強できたし、医者や治療家に責任転嫁したい訳ではなく、20年前の事実として、誰も有効な再発防止策を教えてはくれませんでした。

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