【連載】痛みをとる技術【第3弾】

太腿の筋肉と膝の構造
topicImage_893_1
今回から、膝の正面、膝の外側、膝の内側の3カ所に分けて、その痛みをどう軽減させ、元の機能を取り戻させるか?を解説していきます。痛みを軽減させる方法は、将来痛くなるであろうSOS信号をキャッチする方法でもありますので、まだ痛くない人も身体のチェック方法の1つとして、試していただきたいと思います。

『膝の痛みには太腿のストレッチが効果的』は間違っていません。では太腿の筋肉はどうなっているかというと、右のように外側広筋、大腿直筋、内側広筋、中間広筋、縫工筋など、複数の筋肉で構成されています。ご自身がやっている太腿のストレッチで、写真のように走っている、やや内側、やや外側、表面と深層、斜めの筋肉。これを全て伸ばせているでしょうか? 私は伸ばせていませんでした。何十年も、やったつもりで出来ていませんでした。そりゃ痛くなりますよ。

 

慢性的な痛みの出発点

膝疾患の病名、痛む箇所、痛み方にはそれぞれ違いがあります。がしかし、その出発点は筋肉と筋膜です。筋肉と筋膜が従来の機能から逸脱している。その状態が長く続くと関節の痛みとなって表れます。

例えば、自分の体重に対して足の筋力が弱まれば、膝に負担が掛かり、徐々に変形していくでしょう。更に足の筋力低下で自分の体重を持ち上げるのも億劫になり屈伸運動をしなくなると、床のモノを拾う時などは、腰だけを曲げて拾うようになります。すると腰への負担が増大し、腰痛になるリスクが上がります。更に屈伸運動を避けていると、太腿が伸び縮みする機能を失い、それが違う膝の痛みを引き起こす原因にもなります。また逆に筋トレばかりして、全くケアせず放置しておくと、徐々に筋肉も筋膜も固くなり、従来の伸び縮み機能を失います。すると、その筋肉と筋膜が付着している靭帯と骨の部分が過剰に引っ張られ、部分断裂したり、炎症を起こしたりして痛みを発します

かつてダルビッシュ投手が、メジャーの投手は肘の靭帯を傷める選手が多いことから、メジャーの登板間隔は短すぎる!と警笛を鳴らしました。どんなにコンディショニングを丹念にしても、疲労が抜けきらない状態で自分のローテーションが回ってくる場合はあります。その時のちょっとした無理、或いは調子が良すぎる時の過信が、重大な怪我を引き起こす原因になるのです筋肉と筋膜を従来の筋力と柔軟性を兼ね備えたフレッシュな状態に保持しておけば、関節への負担は軽減され、突発的な怪我の発症は限りなく抑えられます

 

論より証拠 未経験の痛みと伸び感を得る。

ball
ストレッチをする前に、ポールか、写真のようなボールを使って筋膜リリースを行います。マッサージとかトリガーポイントのリリースとか、呼び方や、細かい違いなどは気にしないでください。大切なのは自分の感覚が本質をとらえているかどうか? また結果が出るか出ないか?です。それが全てだと言っても過言ではありません。

hogusi

筋膜リリースレベルはザックリ3段階あります。まずは写真のように構え、肘と体幹で姿勢を保持します。

①ポールを上下にローリングさせてリリース

②脚を左右に揺すってバイバイリリース

③痛い箇所を見つけ、そこにポールを押し当てた状態で、少しだけ横にずらしてリリース。

全ての段階において、完全にリラックス出来るかどうかで、効き目には雲泥の差が出ます。まずは動きの習得から入ってもらっていいのですが、最終的にはリラックス出来ないと、この効果は半分も得られていないとお考えください。

全ての段階において、完全にリラックス出来るかどうかで、効き目には雲泥の差が出
ます。まずは動きの習得から入ってもらっていいのですが、最終的にはリラックス出
来ないと、この効果は半分も得られていないとお考えください。
①②を行って「全然痛くなーい」という方もいらっしゃいますが、子供で無い限り、
初めてこのコンディショニングをして全く痛くないとしたら、それは十中八九前腿に
力が入っています。完全にリラックスする技術、というのも意外と難しいのです。

勿論、全てにおいて痛すぎる刺激はNGです。自分で体重コントロールをしてイタ気
持ち良いところを探してください。この自分で探す感覚も養わなければ、セルフコン
ディショニングは極められません。同じような事をやっていても、動かし方、押し当
て方、リラックスの仕方を知らなければ、それは似て非なるものであり、私が伝えた
いモノではありません。

太腿のストレッチについては次回に解説いたします。

本コラムの執筆者
生西 聖治

ボディメイク&ボディケアハウス
代表:生西 聖治
一般社団法人日本トレーナー協会代表理事

ボディメイク&ボディケアハウスの施設ページはこちら

生西 聖治コラムの一覧はこちら

固定ページ:
1

2

※コラム募集のおしらせ


関連記事

カテゴリー

Facebook始めました!

関連サイト

ページ上部へ戻る