【連載】痛みをとる技術【第9弾】

ええかげんにせーよ!その②
アキレス腱の怪我について「では治療院と称されるマッサージや整体やカイロではどうか?」と聞かれれば、結論から言いますと「ええかげんにせーよ」です。まず原因については整形外科よりも、それはそれはいろんな事を説明してくれます。「ハムが固いせいですねぇ」「これは腰からきてますねぇ」「肩甲骨から連動して」「骨盤の左右差が」などなど、色んな理屈を聞かされました。「理屈はどうでもいいから、治してみろよ」というのが、今の私の回答です。治療院に通っている時に治るのは、自然治癒力なのか、施術のお陰なのか分からないなぁ、ぐらいの回復力です。痛みは一時的に軽減するにしても、結局は同じ怪我を繰り返すので「こりゃいくら施術を受けても根本的には治らないぞ」というのが分かりました。このような経験から、私は1つの大きなミスを犯していたと気付き、1つの大きな疑念を抱くことになりました。

大きなミス。大きな疑念。
私が犯していた大きなミスは、「自分の怪我なのに、他人に治してもらおうと思っていたこと」です。動かなくなっている身体のある箇所を、最終的には自分で動かせるようにしたい訳です。最初は他人の補助があったとしても、最終的には自分の脳からの指令で、思い通りに身体を動かせるようにしなければなりません。人に動かしてもらって、はい、ラクになったでしょって、その時は良いにしても、じゃあ将来的にどうするの?って話です。本当に治そうと思うのなら、最後は自分で治すという覚悟が必要不可欠なのです。その覚悟を私はしていませんでしたし、誰もそう言ってはくれませんでした。
そのことから同時に抱いた大きな疑念は、この人達は、自分達に依存させることを優先させて、本気で私の怪我を治そうとはしてくれていないのでは? ということです。教えてもらったストレッチを、私は執念深くしましたし、月に1回は通えと言うので、欠かさず通っていましたが、その時も同じように怪我を繰り返していました。乱立する治療院の数や、慢性的な痛みで悩む人の数、また待合室にいる人たちの覇気のない顔を見ていると、今まで教えられた事以外の何かを取り入れないと、治らないし、依存して無気力になっていくだけだなぁと、これまで以上の危機感を覚え、一般的な情報との一時的な決別を決意しました。

アキレス腱に即効利くのは「ふくらはぎ」と「足の裏」
どこか身体に痛みがあると言うと「こことここが連動していて、ここに歪みがあって、ここが固いから・・・」と理屈ばかりこねる人には、「うっせーコノヤロー」と言いたくなります。確かに例えばアキレス腱以外にどこか悪いところがあって、それを放置していたから、結果としてアキレス腱に痛みが現れたのでしょう。間違いではありませんが、最も関連性の高い悪い箇所は、間違いなくアキレス腱に直結している筋肉群とその周辺の組織です。遠く離れた箇所をごちゃごちゃいじくるのは、痛みが引いてからでいいでしょう。医者もトレーナーもセラピストも、自分の持っている知識をひけらかしたいおバカなお利口さんなのか、物事を複雑にする人が多いです。シンプルかつ自分で治せる方法があればそれが一番でしょう。依存するお客さんが減ってしまうことをビビっているのでしょうか? そんな人間は、絶対的にこの仕事に向いてないので、すぐに辞めていただきたいと思います。

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私がアキレス腱のケアで、最も有効だと感じたコンディショニングは、ふくらはぎと、足の裏をほぐすことです。
まずふくらはぎ。ボールの上にリラックスした状態でふくらはぎを置き、前後、左右にゆっくりと動かして、痛む箇所を探します。特別痛む箇所が見つかったら、そこにボールを当てた状態で止め、足首をゆっくりと慎重に動かします。足先を前後、左右、回転を加えたりして、ボールでおさえている筋肉との連動性を感じます。それで「ここのラインが張ってるのかぁ」と自分で分かれば、後々コンディショニングする時の優先順位が付けられるようになります。
また、アキレス腱に違和感や炎症のある人は、ふくらはぎに、ほぼ間違いなく、その弦のようにピンと張っている筋肉のラインが感じられると思います。そのピンと張った筋肉にボールで押し当てて、横にずらすという、これまでになかった方向へのストレッチを行います。私は足首が固く、縦方向に伸ばすストレッチでは十分な効力が得られないため、この方法を考えましたが、足首が十分に柔らかい人にも、この押さえて横方向へずらす、というストレッチは有効です。この時も横にずらした状態で、足首を慎重に動かします。

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見落とされがちなのが足の裏です。足の裏も筋肉や靭帯のカタマリなのです。靴を履きっ放しでいると筋肉が締め付けられ、本来のクッション機能を果たせなくなってしまいます。青竹やボール、ダンベルでも良いですし、机や椅子の足置きの角でも何でも良いので、身の回りにあるモノを利用して、足の裏全体をほぐします。足裏の左右もしっかりほぐしてやるのがミソです。

片足だけ、この2つのコンディショニングを丁寧に行った後、歩いてみると、左右の感覚が全く違ことに気付くと思います。「重力を感じなくなったのかと思った」「羽が生えたみたいになった」と、その軽さを表現する人もいました。
一日中立ち仕事をして、浮腫みがとれない人にも有効です。アキレス腱の痛み、違和感でお困りの人も含め、自分で治す覚悟を持ってトライしてみてください。

本コラムの執筆者
生西 聖治

ボディメイク&ボディケアハウス
代表:生西 聖治
一般社団法人日本トレーナー協会代表理事

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